家やビルの中の部屋で交わされる会話を盗聴したい場合には、ターゲットとなる部屋の中または部屋の近くに盗聴器を仕掛けるのが基本です。
部屋の中に盗聴器を仕掛けていない場合、基本的に建物の外から部屋の中の会話を聞くことはできません。
盗聴器とは部屋に仕掛けておく耳のようなものです。盗聴器自体が会話が行われ、音声が聞こえている場所に仕掛けなければ、会話を盗聴することはできません。例えば障子で隔てられた部屋であれば、隣の部屋に仕掛けても聞こえる可能性があります。逆にコンクリートの壁で隔てられた、例えば聞きたい部屋の外壁の外側などに盗聴器を仕掛けても、部屋の会話を聞き取るのはほぼ不可能と言えます。(盗聴器は周囲どれくらいの範囲の音が聞こえますか?を参照)
例外として、固い壁で隔てられた部屋の場合、コンクリートマイクを使用すれば部屋の内部で交わされている会話を聞き取ることが出来る可能性があります。
音は波のように伝わっていく空気の振動ですが、物質に当たるとその物質を振動させる性質があります。そして、その物質の密度が高く固いほど振動はより鮮明に遠くまで伝わります。この振動が空気以外の物質を伝わる特性は、糸電話が良い例です。糸電話では音が紙コップの底を振動させ、振動した紙コップが糸を振動させ、糸の振動が遠くにある紙コップに伝わります。糸でもよく音を伝えますが、鉄や木、コンクリートであればさらに良く振動を伝えます。こうして僅かに伝わってきた振動を音として再現して聞くことの出来る装置がコンクリートマイクです。イメージとしてはお医者さんが使用する聴診器に近いイメージです。
コンクリートマイクを使用すれば、厚い壁の向こう側の音声も聞き取ることが可能です。
パラボラアンテナのような形状で、お椀型の覆いで集音して、小さな音を聞くといったグッズもあるようです。
ただし、このような集音マイクは会話に直接向けておく必要があるため目立ったり、所詮は感度の良いマイクの一種なので距離の限界が低く、盗聴としては一般的ではありません。
こういったマイクは野鳥観察で鳥の鳴き声を録音したいといった場合には有効かもしれませんが、人間を相手にした盗聴目的では現実的ではないと言えます。